・恋愛型(ラブタイプ・love type)とは
カナダの心理学者であるリーは、恋愛をパターン(類型)に分け、それらを色相環のように環状に位置づけています(Lee, 1974, 1977)。
例えば赤と黄色を混ぜればオレンジになるといったように、現実の恋愛は上記の型の混合になる、ということなのです。
Lee(1973)は、小説などから4,000以上の恋愛に関する記述を抽出し、統計的に整理し、恋愛関係を6つに分類しました。下記にそれぞれの特徴についてまとめます。
●ルダス(Ludus、遊びの愛)
遊びの要素が多く、快楽的で、相手を拘束しない。恋愛をゲームと捉え、楽しむことを大切に考える。相手に執着せず、相手との距離をとっておこうとする。複数の相手と恋愛できる。いろいろなタイプの相手と交際することができる。性的関係を相手と深く関わるためのものとしてではなく、楽しむためのものとして捉えている。
●マニア(Mania、狂気的な愛)
すぐに相手に夢中になり、その人のことしか考えられないようになる。熱狂的で、脅迫的で嫉妬深い愛。独占欲が強い。やきもち、憑執(ひょうしゅう)、悲哀などの激しい感情を伴う。時として自分の感情がコントロールできなくなる。「愛している?」と確認したり、相手に言わせたりする。
●プラグマ(Pragma、実利的な愛)
実際的で現実的。恋愛を地位の上昇などの手段として考えている。役に立つかどうかで、相手を判断する。相手の選択においては、社会的な地位の釣り合いなど、いろいろな基準を立てている。自分と関係がうまくいきそうな相手を選ぶ傾向がある。
●エロス(Eros、美への愛)
直接的な肉体の魅力、官能性、自信、魅惑的な美、きわめて親密で密着した関係を特徴とする。恋愛を至上のものと考えており、ロマンチックな考えや行動をとる。相手の外見を重視し、熱烈な一目惚れを起こす。できれば相手に毎日ずっと接触していたいと思い、早い時期に性的関係を持ちたいと思う。相手に夢中になるが、独占欲が強いわけではない。
●ストーゲィ(Storge、友愛的な愛)
情愛に満ち、友愛的で、激しい情熱に欠ける。穏やかな、友情的な恋愛。長い時間をかけて、知らず知らずのうちに、愛が育まれる。愛とは友情の延長のようなものなので、興奮を期待するものではない。性的行動に対しては消極的で、自然に結ばれるようになるものと捉えている傾向にある。
●アガペ(Agape、愛他的な愛)
愛他的で、辛抱強く従順。相手の利益だけを考え、相手のために自分自身を犠牲にすることも厭わない愛。全てを与え、尽くす愛。
松井ら(1990)は、Lee(1973)の恋愛類型を元に、日本語版の尺度を開発しました。これが先ほどの尺度です。その研究での結果を下記にまとめます。男女間の記号は、統計的に有意な差の有無を示しています。
エロス 男性:18.16±7.43 ≒ 女性:17.12±8.16
ストーゲィ 男性:17.94±5.89 ≒ 女性:18.30±6.06
ルダス 男性:16.71±6.23 ≦ 女性:18.34±6.70
アガペ 男性:19.30±7.88 ≧ 女性:17.65±8.05
マニア 男性:20.22±8.76 ≒ 女性:19.36±9.21
プラグマ 男性:13.27±6.83 ≦ 女性:16.91±7.44
男性は女性よりもアガペが高く、女性は男性よりもルダスとプラグマが高いということがわかりました。つまり、男性は女性よりも、相手の幸福のために自分を犠牲に尽くしているのに対して、女性は男性よりも、役に立つかどうかで男性を判断したり、恋愛に楽しみを求めたりする傾向が高いようです(笑)
ですが、これはあくまでも、1990年の結果ですので、現代ではどう変化しているのかも気になりますね!
以上、わたしが知っている研究などをいくつか紹介させていただきました。個人の意見や解釈を含んでいるため、より詳しく知りたい方、確かな情報を得たい方は、参考にさせていただいた論文や本を読んだり、自発的に調べてみたりしてくださいね。
最後に、上記の研究で得られた得点の差は、統計的に有意であることが示されているものもありますが、ここで紹介した得点と、あなたの得点を比較しても、有意な差があることはわかりませんので、算出された恋愛類型の得点は、単なる数字としてとらえてください。よろしくお願いいたします。
―参考にさせていただいた論文やおすすめの本など―
● Lee, J. A. (1973). The Colors of Love. Ontario: New Press.
● Lee, J. A. (1974). Styles of loving. Psychology today, 8(5), 43-51.
● Lee, J. A. (1977). A typology of styles of loving. Personality and Social Psychology Bulletin, 3(2), 173-182.
● 松井 豊・木賊 知美・立澤 晴美・大久保 宏美・大前 晴美・岡村 美樹・米田 佳美 (1990). 青年の恋愛に関する測定尺度の構成 東京都立立川短期大学紀要, 23, 12-23.
● 松井 豊 (1993). 恋ごころの科学 サイエンス社.
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